「1型糖尿病でも好きに生きる」をテーマにブログを書いています。yosh(@YOSHLIFE01)です。
今回は初めての試みですが「書評」です。僭越ながら、本のレビューを書いていきます。
今回は、糖尿病専門医で、ご自身もMODYという種類の糖尿病の患者でもある、田中慧(おだQ)先生の著書です。
Twitterでは、こっそり以前からフォローさせていただいていて、(一方的に)知ってたんですが、この度、2022年末に著書を出されたということでamazonで購入してみました。
このたびクリニコ出版さまより機会をいただき、「糖尿病医のとうにょうびょう日記 教科書に載ってない30のこと」という本を出版させていただくことになりました。
— おだQ🧬💉 (@OdaQ_DM) October 24, 2022
MODYに関することと、糖尿病患者・糖尿病専門医の立場から糖尿病に関する指導について書かせていただきました
https://t.co/83recUA7jt
タイトルは「糖尿病医のとうにょうびょう日記 - ゆるゆる楽しい糖尿病ライフのための教科書に載っていない30のこと - 」
ということで、糖尿病患者に向けた、糖尿病と付き合うための必要な知識や、治療しながらのQOL(Quality of life = 生活の質)を上げるための実用的なアイディアをテーマに書かれています。
これは、個人的な解釈なのですが、題名の一部が「とうにょうびょう日記」とあえて平仮名での表記となっているのは、難解な内容じゃないから、幅広い人に読んでもらいたいという願いを込めて、ひらがなにしてるのかなと勝手に推察してます!(随所に登場する可愛らしいイラストもそういう意図があるのかなと思ってます笑)
確かに、医師が書く本って、なんか専門的でとっつきにくい内容かなって勝手に思っちゃうんですが、著者のおだQ先生は、自身も患者ということで、同じく糖尿病の患者に向けた、分かりやすくて有意義な内容になってました!
ということで、前置きはそこそこに、中身についても触れていきたいと思います。
書評
冒頭にも書いたように、著者である、おだQ先生は、糖尿病専門医でありつつ、「MODY」という類型の糖尿病の患者さんでもあります。(時系列には、患者あり医師でもあるというのが正しそうですが笑)
あんまり知らなかったんですが、MODYとは、Maturity Onset Diabetes of the Young の頭文字で、日本語だと「家族性若年糖尿病」と訳される、糖尿病の一つの分類みたいです。糖尿病とひと括りにいっても、その中でも「1型糖尿病」「2型糖尿病」「妊娠糖尿病」「その他(MODY含む)」と分かれており、割合的には、一般的に90%以上が2型、10%未満が1型、その他が1%程度となっているそうなので、糖尿病の中でも希少な種類なんですね...
ただし、MODY含む、その他の糖尿病は、診断されていないだけで、本当はもっと存在している可能性があるということで、すでに、1型や2型と診断されている患者さんの中にも、実際には、別の糖尿病の分類に属する方もいるということみたいです。
正しい分類を知ることで、今とは別の治療薬や治療法が有効な可能性も多いにあるそうなので、個人的にも、非常に興味を持った部分です。
ただ、検査は、遺伝子検査が必要で、保険適用外なので、自己負担で7~8万円程度ということなので、そこはネックになる部分ですね...
長くなりましたが、第1章では、ご自身の糖尿病発症の経緯と、MODYについて詳しく書かれた章となっています。
続いての第2章は、血糖値の「測定」に焦点を当てて書かれています。ここからは、全ての糖尿病患者さんが参考になる、実用的な内容が書かれていて、血糖測定時の痛みを少なくする方法や、リブレ(CGM)利用時のセンサーでのかぶれ、かゆみを緩和するテクニックなどが書かれています。
第3章では、糖尿病の薬、主にインシュリンにまつわる話題に触れています。
インシュリンの「使い切りタイプ」と、カートリッジでの「詰め替えタイプ」の値段の比較も書かれていて、ここも非常に実用的な内容ですね。まだご存知ない方は、この本をきっかけに治療費の削減ができるかもしれないですね。
第4章では、糖尿病患者の食事療法について書かれています。市販で売られている商品を参考に、食事療法のアドバイスや気をつけるポイントなどがデータやご自身の体験を元に詳しく書かれている章です。
第6章は「シックデイ、日常生活」ということで、よく聞く糖尿病の「シックデイ」と呼ばれる期間の心構えや、旅行や非常時の備えについて詳しく書かれています。個人的には、旅行や仕事での出張がけっこうあるので、そういった意味でも参考になるパートでした。
最後に「おわりに」として書かれている部分では、糖尿病と付き合っていく上での課題となる「スティグマ(差別や偏見)」や「カミングアウト」「アウティング」について触れています。著者である先生が、糖尿病患者の当事者として向き合ってきた中での課題や葛藤が伺える、糖尿病患者なら老若男女誰でも付き纏うテーマです。病気発症して数年ではありますが、個人的にも大きく課題を感じている、糖尿病の治療そのものとは別の問題で、うまく解決できればなと思っている部分でもあります。
糖尿病は、現時点で根治(治療しなくて良くなる状態になること)は難しい病気(1型やMODYについては特に)なので、長期間付き合っていくことが前提となります。血糖値や、A1cを適正値にしていくという治療そのものもさることながら、それ以外の糖尿病に関連する問題もまだまだ解決の余地があると改めて感じました。
総評としては、
こちらの本は、糖尿病の一般的な知識から、今日から使える糖尿病治療のQOLを向上させるライフハック、知って得する糖尿病関連情報が多く盛り込まれており、糖尿病の患者さんはもちろん、普段身近に接する家族や恋人なども読んでおくと非常に有用な必読書という印象でした。
また、冒頭にも書いたように、糖尿病に関わる幅広い人を対象に書かれた本かと思いますので、内容やボリュームも、かなり読みやすいものになっているので、腰を据えてじっくり読む難解な本というよりも、空いた時間でサクッと、ブログ感覚で読めたのも良かったです。(実際に、先生のブログから派生して書かれている部分も多いかと思います。)
先生のブログはこちら ¬ https://odaqdm.com/
しいて言うなら、
お値段が、定価3,080円(税込)と若干高めな価格設定なことと、
Kindleでの電子書籍での取扱が現時点でない(予定されていたらすみません)ので、Amazon Kindle(電子書籍リーダー)のヘビーユーザーの僕からすると、電子書籍希望でしたが、続編も期待しております!
それでは!